ガイドラインから学ぶHIV感染症診療のポイントガイドラインから学ぶHIV感染症診療のポイント

ガイドラインから学ぶHIV感染症診療のポイント

塚田 訓久 氏(国立病院機構 東埼玉病院 臨床研究部長)

2022年7月13日(水) 20時~

今回のケアネットライブは、「ガイドラインから学ぶHIV感染症診療のポイント」です。「不治の特別な病気」として出現したHIV感染症も、今や「コントロール可能な慢性疾患」に変わりつつあります。一般臨床医にとっての有用な周辺情報として、診療ガイドラインの変遷をたどりながら研究・治療が進化した現況をご紹介します。

令和 2(2020)年の新規報告数は、HIV感染者とAIDS患者を合わせて1,095 件。近年、いずれも減少傾向を示していますが、その背景には保健所や自治体が実施するHIV検査件数や相談件数の減少があり、必ずしも好ましい結果とはいえないようです。

1985年から現在までのHIV感染者・AIDS患者報告数は、累計3万2480件。このうち約3割が、AIDSを発症して初めてHIV感染を知ったといわれます。

1998年から刊行が始まった「HIV感染症『治療の手引き』」(日本エイズ学会)は臨床に必要な最新情報を簡潔に記載したもので、2022年2月現在、25版を数えます。同じく1998年(平成10年度)から「抗HIV治療ガイドライン」(厚労省研究班)の年次刊行が始まり、最新の2022年3月版には現在の推奨に至る背景や推移、蓄積されたエビデンスなどが詳細に記載されています。

今回の講師は、これまで国立国際医療研究センターのエイズ治療・研究開発センター(ACC)でHIV感染症診療に携わってきた国立病院機構東埼玉病院臨床研究部長の塚田訓久氏。この四半世紀のHIV研究・治療の流れをコンパクトにまとめ、患者向けの疾患啓発や医療従事者への情報発信を行ってきた経験も踏まえて講義します。

当初、長期予後にかんするエビデンスが存在しないため、臨床成績の蓄積と検証、さらに研究開発が並行して進められました。強力な多剤併用療法(HAART)では、副作用のみならず、多くの錠剤を1日何回も服用する煩雑さが服薬アドヒアランス低下を招き、薬剤耐性の課題と直面する状況にありました。

それから四半世紀を経た現在、HIVの増殖抑制と免疫能維持が可能な段階に入り、HIV感染からのAIDS発症抑制が期待できる段階にまで到達しています。1日1回1錠の配合薬も登場し、服薬アドヒアランスの問題もかなり改善されています。

2000年前後にかけて世間一般をAIDSパニックに陥れ、差別や偏見を生み出してきたHIV感染症ですが、コロナ一辺倒の昨今は見過ごされがちな側面もうかがえます。ぜひ、一般臨床医の先生方にご視聴いただき、HIV感染症診療の適正情報の啓発と理解に努めていただきたいと思います。

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